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ヒートアイランド現象3

国土交通省気象庁

日本語訳:青山貞一 東京都市大学名誉教授
投稿日:2020年12月28日

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ヒートアイランド現象3
国土交通省気象庁

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ヒートアイランド現象

◆都市化の影響は日中と夜間で違いはあるのですか?

 下図は、関東地方における2014年8月の夜間(5時)と日中(15時)の都市化による影響を示しています。これをみると、日中(15時)より夜間(5時)の方が都市化の影響が大きいことが分かります。

 これは、日中は混合層 (注) の発達に伴って都市の余剰熱が上空へ拡散されるのに対し、夜間は、混合層の発達が弱く都市の余剰熱が地表付近の薄い層に集中すること、都市がない場合は放射冷却が強く地表付近の気温の低下が大きくなることによると考えられます。

(注) 混合層とは、空気がよく混ざり合った地表面付近の大気層のことを言います。数百~千数百mの高さまで及びます。


図 関東地方における2014年8月の5時(左図)と15時(右図)の都市化の影響による月平均気温の変化(℃)の分布図

都市化の影響による変化は、「都市あり実験」と「都市なし実験」の差を表している。


◆都市化の影響は夏と冬で違いはあるのですか?

 関東地方における8月(2009~2014年平均)と1月(2010~2015年平均)の平均気温と都市化による影響の分布をそれぞれ図1、2に示します。これらをみると、都市化の影響は8月より1月の方が大きいことが分かります。

 これは、主に夜間のヒートアイランド現象の程度(強さ)の違いのためと考えられます。一般的に晴れて風の弱い日の夜間は、夏より冬の方が放射冷却が強くなり、このことが都市がない場合の地表付近の気温をより低下させるためです。

 また、都市化の影響による気温上昇量の大きい領域が、8月は内陸部に、1月は沿岸部を中心に現れていることが分かります。これは、それぞれの季節で卓越する天候や風(季節風)などが違うことが影響していると考えられます。


図1 関東地方における6年(2009~2014年)平均した8月の月平均気温(左図)と都市化の影響による月平均気温の変化(右図)の分布図


図2 関東地方における6年(2010~2015年)平均した1月の月平均気温(左図)と都市化の影響による月平均気温の変化(右図)の分布図

都市化の影響による変化は、「都市あり実験」と「都市なし実験」の差を表している。


◆都市化の影響は年によって違いはあるのですか?

 下図は、関東地方における2009年から2014年までの8月の都市化の影響による月平均気温の変化の分布図を示しています。この図をみると、都市化の影響は、2010、2012、2013年に比較的大きく現れており、年によって違いがあることが分かります。

 この要因としては、太平洋高気圧の張り出しが年によって違うために、都市化の影響が現れやすい「晴れて風の弱い日」が多くなるような天候が年によって違うためと考えられます。


図  関東地方における2009~2014年8月の都市化の影響による月平均気温の変化の分布図

都市化の影響による変化は、「都市あり実験」と「都市なし実験」の差を表している。


ヒートアイランド現象4