|
|
| ミランコヴィッチメニューへ戻る ヒートアイランド現象1 国土交通省気象庁 ヒートアイランド1 ヒートアイランド2 ヒートアイランド3 ヒートアイランド4 ヒートアイランド現象 ◆ヒートアイランド現象とはどのようなものですか? ヒートアイランド(heat island=熱の島)現象とは、都市の気温が周囲よりも高くなる現象のことです。気温の分布図を描くと、高温域が都市を中心に島のような形状に分布することから、このように呼ばれるようになりました。ヒートアイランド現象は「都市がなかったと仮定した場合に観測されるであろう気温に比べ、都市の気温が高い状態」と言うこともできます。 関東地方の場合は、東京都市圏を中心に高温域が広がっています(下図)。 都市化の進展に伴って、ヒートアイランド現象は顕著になりつつあり、熱中症等の健康への被害や、感染症を媒介する蚊の越冬といった生態系の変化が懸念されています。 ![]() 図 2013年8月11日05時(左図)、15時(右図)における関東地方の気温の分布図 ◆ヒートアイランド現象の要因は何ですか? (1)土地利用の変化の影響(植生域の縮小と人工被覆域の拡大) 草地、森林、水田、水面等の植生域は、アスファルトやコンクリート等による人工被覆域と比べて保水力が高いことから、水分の蒸発による熱の消費が多く、地表面から大気へ与えられる熱が少なくなるため、主に日中の気温の上昇が抑えられます。 人工被覆域は、植生域と比べて日射による熱の蓄積が多く、また、暖まりにくく冷えにくい性質がある(熱容量が大きい)ことから、日中に蓄積した熱を夜間になっても保持し、大気へ放出することになるため、夜間の気温の低下を妨げることになります。 都市で建築物の高層化及び高密度化が進むと、天空率が低下し地表面からの放射冷却が弱まること、また、風通しが悪くなり地表面に熱がこもりやすくなることにより、さらに気温の低下を妨げることになります。 (2)人工排熱(人間活動で生じる熱)の影響 都市部の局所的な高温の要因と考えられます。都市の多様な産業活動や社会活動に伴って熱が排出され、特に都心部で人口が集中する地域では、昼間の排熱量は局所的に 100W/m2 (中緯度での真夏の太陽南中時における全天日射量の約 10%) を超えると見積もられています。 ![]() 図1 ヒートアイランド現象の概念図 気象庁では、これらヒートアイランド現象の要因(言い換えれば、都市化の影響)による都市での気温上昇量を見積もるために、「都市気候モデル」と呼ばれる数値モデルを利用しています。下の図2のように、都市の地表面状態や人工排熱を考慮した場合のシミュレーションを「都市あり実験」、また、都市の影響を除去した場合(都市域の地表面状態を草地に置き換え、かつ、人工排熱をゼロにすることで、仮想的に人間が都市を建設する以前の状態に戻す)のシミュレーションを「都市なし実験」として、二つの実験を行い、「都市あり実験」の気温から「都市なし実験」の気温を引いたものを都市化の影響とみなしています。 ![]() 図2 関東地方における2013年8月の月平均気温の都市あり実験結果(左図)、都市なし実験結果(中央図)、都市化の影響による月平均気温の変化:「都市あり実験」と「都市なし実験」の差(右図) ◆ヒートアイランド現象と地球温暖化は違うのですか? 人間活動が原因で気温の上昇をもたらすという点では同じですが、その仕組みや現象の規模は全く異なっています。 ヒートアイランド現象は、人工的な構造物や排熱を要因として気温が上昇する現象で、その広がりは都市を中心とした限定的なものです。 ![]() 図1 ヒートアイランド現象の仕組みの概念図 一方、地球温暖化は、大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることを要因として気温が上昇する現象で、その広がりは地球規模です(詳しくは地球温暖化の知識・解説へ)。 ![]() 図2 地球温暖化の仕組みの概念図 気象庁は、全国で約150地点の気象台や測候所、特別地域気象観測所において気温等の気象観測を実施しており、ほとんどの観測所で長期的な気温の上昇が確認されています。この長期的な気温の上昇には地球温暖化が影響していますが、都市では都市化による局地的な気温の上昇が加わっていると考えられます。 図3は、東京、大阪、名古屋といった大都市と、都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点 (注) 平均の年平均気温及び日本近海で平均した年平均海面水温の長期的な変化を比較したものです。15地点平均の気温の上昇は、日本近海で平均した海面水温の上昇と概ね等しく、地球温暖化による影響を反映しているものと考えられます。しかし、大都市ではそれよりも高い上昇が観測されており、地球温暖化とともに都市化の影響が加わっていると言えます。 (注)全国の地上気象観測地点の中から、観測データの均質性が長期間確保でき、かつ都市化等による環境の変化が比較的小さい地点から、地域的に偏りなく分布するように選出した、網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島です。 ![]() 図3 大都市と都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点平均の年平均気温及び日本近海で平均した年平均海面水温の長期的な変化 東京(赤線)、大阪(青線)、名古屋(緑線)、都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点平均(黒線)の年平均気温の偏差(1901~1930年平均からの差)及び日本近海平均海面水温(水色線)の偏差(1901~1930年平均からの差)の時系列。1901年から2014年まで。東京、大阪、名古屋及び都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点中の2地点(飯田、宮崎)は観測所の移転に伴い移転前のデータを補正している。また、日本近海平均海面水温の偏差は、「海面水温の長期変化傾向(全海域平均)」のデータを用いて作成している。 ヒートアイランド現象2 |