ザクセン王国の栄華を今に ドイツ・ザクセン州短訪 ヨハン・セバスティアン・バッハ4 Johann Sebastian Bach 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 現地視察:2004年9月5日、掲載月日:2021年4月30日 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
| 総合メニューに戻る ヨハン・セバスティアン・バッハ1 ヨハン・セバスティアン・バッハ2 ヨハン・セバスティアン・バッハ3 ヨハン・セバスティアン・バッハ4 ◆ヨハン・セバスティアン・バッハ4 作品 ヨハン・ゼバスティアン・バッハは、幅広いジャンルにわたって作曲を行い、オペラ以外のあらゆる曲種を手がけました。その様式は、通奏低音による和声の充填を基礎とした対位法的音楽という、バロック音楽に共通して見られるものですが、特に対位法的要素を重んじる傾向は強く、当時までに存在した音楽語法を集大成し、さらにそれを極限まで洗練進化させたものです。 したがって、バロック時代以前に主流であった対位法的なポリフォニー音楽と古典派時代以降主流となった和声的なホモフォニー音楽という2つの音楽スタイルにまたがり、結果的には音楽史上の大きな分水嶺のような存在となっています。 JSバッハは、ドイツを離れたことこそしませんでしたが、勉強熱心で幅広い音楽を吸収した。とりわけ、古典派のソナタにも比すべき論理性と音楽性を持つフーガの巨匠として名高いと言えます。 現代においてもなお新鮮さを失うことなく、ポップスやジャズに至るまで、あらゆる分野の音楽に応用され、多くの人々に刺激を与え続けています。 ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品はシュミーダー番号(BWV、「バッハ作品目録」 Bach Werke Verzeichnis の略)によって整理されています。 「バッハ作品目録」は、1950年にヴォルフガング・シュミーダーによって編纂され、バッハの全ての作品が分野別に配列されています。また、1951年からドイツのヨハン・ゼバスティアン・バッハ研究所(ゲッティンゲン)で「新バッハ全集」の編纂が開始され、1953年にバッハアルヒーフ(ライプツィヒ)もこの編纂に参加しますが、10年で終わると予想されていた編纂作業はドイツの東西分断などの事情で難航し、「新バッハ全集」103巻が完成したのは2007年のことでした。 「新バッハ全集」には1100の作品が収められています。現在も作品の整理が継続中です。 管弦楽・協奏曲 器楽だけによる合奏曲では、ブランデンブルク協奏曲、管弦楽組曲、複数のヴァイオリン協奏曲、チェンバロ協奏曲などがあります。特にブランデンブルク協奏曲や管弦楽組曲には、G線上のアリアのもととなる楽章など、広く親しまれている作品が多くあります。 ◆J.S.バッハ / 管弦楽組曲第3番 BWV1068「G線上のアリア」 洗足学園音楽大学/SENZOKU GAKUEN college of Music なお、4台のチェンバロのための協奏曲BWV1065は、アントニオ・ヴィヴァルディの協奏曲(協奏曲集『調和の霊感』Op.3の10、4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲」の編曲です。 室内楽曲 室内楽曲作品はそれまで伴奏として扱われてきたチェンバロの右手パートを作曲することによって、旋律楽器と同等、もしくはそれを上回る重要性を与え、古典派の二重奏ソナタへの道を開いたヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ、フルートとチェンバロのためのソナタ、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタなどは特に重要です。 なお、バッハの場合の「ソナタ」とはいわゆるバロック・ソナタ(大部分が緩・急・緩・急の4楽章からなる教会ソナタのスタイルをとる)であり、古典派以後の「ソナタ」より簡潔な形です。 器楽曲 オルガン曲 バッハの器楽曲の中でもオルガン曲は歴史的に重要です。生前のバッハはオルガンの名手として著名で、その構造にも精通していました。また、聴覚に優れ、教会堂やホールの音響効果を精緻に判別できました。 そのため、各地でオルガンが新造されたり改造された際にはたびたび楽器の鑑定に招かれ、的確なアドバイスと併せて即興演奏をはじめとした名技を披露し、聴衆に圧倒的な印象を与えたと伝えられています。 『故人略伝』が伝える有名な逸話として、1717年、ドレスデンにおいてフランスの神童と謳われたルイ・マルシャンと対戦することになった際、マルシャンはバッハの余りに卓越した演奏に恐れをなして対戦当日に逃げ出し、バッハの不戦勝となったといいます。 バッハのオルガン作品は、コラールに基づいた「コラール編曲」と、コラールに基づかない「自由作品」(前奏曲、トッカータとフーガなど)の2つに分類されます。現存する主要作品は、30曲余りの自由作品と、コラール前奏曲の4つの集成(オルガン小曲集を含む)、いくつかのコラール変奏曲であります。 クラヴィーア曲 バッハの時代には、ピアノはまだ普及するに至っておらず、バッハのクラヴィーア(オルガン以外の鍵盤楽器の総称)作品は、概ねチェンバロやクラヴィコードのために書かれたものとされています。その多くはケーテンの宮廷楽長時代に何らかの起源を持ち、息子や弟子の教育に対する配慮も窺えるものとなっています。 平均律クラヴィーア曲集 (Das wohltemperierte Klavier 独)(全2巻、第1巻 BWV846‐BWV869、第2巻 BWV870‐BWV893) - 長短24調による48の前奏曲とフーガ。ベートーヴェンのソナタがピアノの新約聖書と称されます、このバッハの平均律クラヴィーア曲集はピアノの旧約聖書と称されています。音楽史上最も重要な作品群のひとつです。 クラヴィーア練習曲集(全4巻、第1巻「パルティータ」BWV825‐BWV830、第2巻「フランス風序曲」BWV831及び「イタリア協奏曲」BWV971、第3巻「前奏曲とフーガ変ホ長調」BWV552、コラール編曲BWV669‐689及び「デュエット」BWV802‐805、第4巻「ゴルトベルク変奏曲」BWV988) - バッハが生前に出版した鍵盤作品集。第1巻、第2巻および第4巻は手鍵盤のための作品ですが、第3巻には足鍵盤つきのオルガン曲が多く含まれています。 その他器楽曲 旋律楽器のための無伴奏作品集には無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ、無伴奏チェロ組曲の2つがある(この他、無伴奏フルートのためのパルティータが1曲あります)。これらは、それぞれの楽器の能力の限界に迫って多声的に書かれた作品群であり、それぞれの楽器の演奏者にとっては聖典的な存在となっています。 特に、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の終曲にあたる「シャコンヌ」は人気の高い作品で、オーケストラ用やピアノ用など、19世紀以降様々な編曲が行われています。 また、バッハは当時廃れつつあったリュートにも強い関心を示し、複数の楽曲(BWV 995-1000、1006a)を残しました。ただし、近年の研究では、BWV 996などいくつかの作品は、ガット弦を張った鍵盤楽器ラウテンヴェルクのために書かれたと推定されています。これらの作品は、今日、20世紀に復活したバロックリュートで弾かれるほか、クラシックギター向けの編曲作品も広く演奏されています。 声楽曲 バッハはその音楽的経歴の大部分を教会音楽家として送り、宗教的声楽曲はバッハの作品群の中でも重要な位置を占めます。特に、ライプツィヒ時代の初期数年間においては、毎日曜日の礼拝に合わせて年間50~60曲ほど必要となるカンタータをほぼ毎週作曲、上演するという、驚異的な活動を行いました。 ちなみにバッハは、宗教曲の清書自筆譜の冒頭に「JJ」(羅:Jesu juva!=イエスよ、助けたまえ)と書き、最後に「SDG」(羅:Soli Deo Gloria!=ただ神のみに栄光を)と書き込むことを常としていました。 今日残されているのは、ドイツ語による約200曲の教会カンタータ(本来は5年分:約250曲で約50曲がすでに紛失)、2つの受難曲(3番目のマルコ受難曲のレチタティーヴォが紛失)と3つのオラトリオ、6曲のモテット、ラテン語によるマニフィカト1曲、小ミサ曲(ルーテルミサ)4曲と大ミサ曲1曲が主要なものです(ドイツ語作品では、ルター派の伝統に立脚したコラールが音楽的な基礎となっていることが多いようです)。 また、それとは別に、宗教的な題材によらない約20曲の世俗カンタータもある。目的は様々で、領主への表敬、結婚式や誕生日祝い、さらにコーヒー店での演奏会用の作品と見られるもの(『コーヒー・カンタータ』、BWV.211)もあります。 その中にはしばしばユーモアが滲み出ており、バッハの人間性にじかに触れるかのような楽しさが感じられます。なお、テクストを取り替えること(パロディと呼ばれる)によって宗教的作品に転用されたものも存在します。 ◆マタイ受難曲 (Matthauspassion) BWV244 J.S.バッハ:マタイ受難曲 Matthaus-Passion BWV244 Bach - St Matthew Passion BWV 244 - Van Veldhoven | Netherlands Bach Society 古今の宗教音楽の最高峰のひとつとされ、2部全68曲(曲数は新バッハ全集 (NBA) の数え方による)からなります。1727年にライプツィヒにて初演されました。後世、メンデルスゾーンによって取り上げられ、バッハを一般に再認識させるきっかけとなったと言われています。 ◆ミサ曲 ロ短調 (MESSE in h-moll) BWV232 Bach - Mass in B minor BWV 232 - Van Veldhoven | Netherlands Bach Society Netherlands Bach Society ミサ曲ロ短調は「バッハ合唱曲の最高傑作」と称されています。最初の2つの部分、キリエ(Kyrie )およびグローリア(Gloria ) は1733年に、サンクトゥス (Sanctus ) が1724年に書かれ、残り大半は1747年から49年にかけて既存作品を利用しつつ作曲されました。最近の研究では、バッハが最後に完成させた曲とされています。 ◆マニフィカト BWV243 ミサ曲ロ短調と同様、ラテン語の歌詞によっており、ニ長調を主調とする作品です。 特殊作品 バッハが特に晩年になってから手がけた様々な対位法的作品群が、一般に特殊作品として分類されています。音楽の捧げものBWV1079やフーガの技法BWV1080に代表されます。この2つの作品は、いずれも1つの主題に基づいて作られており、フーガあるいはカノンの様々な様式が用いられています。 このほか特殊作品として、いくつかの単独のカノンや14のカノンBWV1087があります。カノン風変奏曲「高き御空より」BWV769もここに含まれるべきでですが、楽器指定が明確であるためオルガン曲として分類されています。 その他 ベートーヴェンは、「バッハは小川でなく大海だ」と評した(ドイツ語の“Bach”が文字通りには小川を指すことからくる駄洒落)。 ただし、「小川」を意味する現代ドイツ語(新高地ドイツ語)の"Bach"は音楽家"Bach"とは元々の語源が違います。 ゲルマン語より古いゴート語にもさかのぼることができる語の"pah"や"pacht"という綴りが語源で、意味は流しの芸人に与える「おひねり」とか「ギャラ」を意味します。英語の"pact"が同じ語源です。バッハの祖先が元々は流しの音楽家をしていたこととも符合します。 バッハのチェンバロ作品全集を世界で最初に完成させたのはモダンピアノとムーア二段ピアノによるグンナー・ヨハンセン、その次にモダンピアノによるジョアン・カルロス・マルティンス(Joao Carlos Martins)とモダンピアノによるイヴォ・ヤンセン(Ivo Janssen)が達成しています。 モダンチェンバロではマルティン・ガリンク(Martin Galling)ただ1人が達成、ヒストリカルチェンバロで達成したものは誰もいません。グレン・グールドとスコット・ロスは完成を目指したが及びませんでした。 それに比べるとオルガン作品全集を達成した人物は数十人に及び、比較的ハードルの低いトライです。ただし、歴史的なオルガンで新発見の補遺を含む最も完全な集成を達成した人物は、ゲルハルト・ヴァインベルガー(Gerhard Weinberger)のみです。 ハードロックバンドのディープ・パープルのギタリストであったリッチー・ブラックモアとキーボードのジョン・ロードはクラシック音楽から強い影響を受けており、バッハの曲のコード進行をハイウェイ・スター等の楽曲で数度引用しています。 ギャラリー1 アートにつづく |