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平成13年 9月 6日

地方自治法一部改正による「住民訴訟」制度改悪への不支持申し入れ

賛同者(アイウエオ順) 
○:当初呼びかけ人  ※:環境行政改革フォーラム幹事

青山 貞一 環境総合研究所所長、環境行政改革フォーラム代表幹事※
阿部 泰隆 神戸大学大学院法学研究科教授
池田 こみち 環境総合研究所副所長、国際市民参加学会会員※
寺西 俊一 一橋大学大学院経済学研究科教授※
福井 秀夫 法政大学社会学部教授、元建設省大臣官房会計課補佐※
秋元 幸久 オンブズマンみなと、港区議会議員
阿字野 忠吉 千葉県市川市民
新井 洋子 高尾山自然保護実行委員会
淡路 剛久 立教大学法学部教授
飯田 哲也 環境エネルギー政策研究所所長※
池田 治夫 東久留米市議会議員
礒野 弥生 東京経済大学教授
石下 直子 即位礼・大嘗祭違憲神奈川住民訴訟原告
井上 有一 京都精華大学人文学部環境社会学科教授
江田 雅子 「生田緑地・里山・自然の権利訴訟」原告
井上 博夫 岩手大学人文社会科学部教授
井口 博 弁護士、東京ゆまにて法律事務所
石坂 敏雄 弁護士、三重総合法律事務所(津市)
伊田 広行 大阪経済大学教員
稲垣 雅彦 開発計画研究所取締役都市開発部長、協同組合街づくり総合研究所専務理事※
枝村 庸夫 よこはま市民オンブズマン
大内 加寿子 アスベストについて考える会※
大石 和央 静岡県榛原町議会議員
大庭 正明 世田谷区議会議員
大村 和子 埼玉県川口市市民
岡澤 成郎 葛飾区民
岡田 幹治 フリーランスジャーナリスト、元朝日新聞論説委員
岡安 隆 東京都目黒区民
奥野 真敏 成蹊大学大学院、環境カウンセラー
大沢 豊 日の出の森・トラスト運動事務局長
大橋 義弘 桜美園問題を考える会代表
大島 堅一 立命館大学国際関係学部助教授
大島 弘三 諫早干潟緊急救済本部
小田 耕平 弁護士、あさひ法律事務所
笠原 忠雄 おおむた市民オンブズマン代表幹事
香川 憲幸 オンブズパ−ソン遠州世話人
風間 駿 WWFサポータ
桂木 健次 富山大学経済学部教授
加藤 輝隆 富山医科薬科大学医学部助手・立山連峰の自然を守る会理事
加藤 久和 名古屋大学大学院法学研究科
金尾 憲一 相模川キャンプインシンポジウム、相模大堰訴訟を支援する会
川井 満 NPO法人 ごみ問題5市連絡会
河内 俊英 久留米大学医学部・生物学教室・助教授
川崎 英憲 環境保全研究所社長,箱根を守る会
川村 暁雄 神戸女学院大学文学部教員
菅 克己 埼玉県川口市民
菅野 庄一 弁護士、日本環境法律家連盟(副代表)
木村 勝昭 中野区議会議員
木村 勝隆 東京都目黒区民
黒田 達郎 NPO法人 情報公開市民センター事務局長(理事)
黒田 光太郎 名古屋大学大学院工学研究科教授
向達 壮吉 ネットワーク「しもまるこ地球村」
後藤 隆 環境NPO研究会代表
後藤 雄一 東京都議会議員
小林 一朗 環境・サイエンスライター
小林 正幸 グリーンハンズ
是枝 洋 八王子市民
近藤 豊 川口市議会議員
斉藤 和美 板戸町最終処分場建設絶対反対期成同盟委員長
佐藤 周一 広島瀬戸内新聞主筆
佐藤 秀夫 日本大学文理学部教授
佐藤 小太郎 P&P代表
坂巻 幸雄 日本科学者会議東京支部
坂本 龍一 音楽家
佐野 悟 ニュージーランド大使館
沢野 伸浩 星稜女子短期大学助教授※
渋谷 勝彦 芦田川水系連絡協議会代表
杉山 百合子 日の出の森トラスト会員・藤沢エコネット会員
杉山 隆保 日の出の森トラスト会員、平和に生きる権利の確立をめざす懇談会事務局長
杉山 真大 茨城県土浦市民
鈴木 譲 東京大学大学院農学生命科学研究科教授※
鈴本 誠 静岡県福田町 市民団体代表
清野 聡子 東京大学大学院 総合文化研究科教員※
鷹取 敦 環境総合研究所主任研究員※
高橋 ユリカ ルポライター『川辺川・東京の会』 『有明海・漁民・市民ネットワーク』
高田 昭彦 成蹊大学文学部現代社会学科教授
高畑 宅二 ジュゴンキャンペーン神奈川
田口 誠道 臨済宗妙心寺派長昌寺住職
田口 操 フォー・ザ・チルドレン代表
多田 実 多田実報道事務所
田中 優 足温ネット(足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ)理事
田中 徹ニ 環境と金融リサーチ
谷山 里子 ごみ問題5市連絡会・ごみゼロを目指す市民の会
田巻 誠 東京湾・十六万坪の自然を守る会
田村 宏 NPO市民福祉サポートセンター
辻 淳夫 藤前干潟を守る会代表、日本湿地ネットワーク代表※
津田 晃代 ネットワーク『地球村』やつしろ
坪井 照子 ごみ問題5市連絡会・ごみゼロを目指す市民の会
つる 詳子 環境カウンセラー
鶴巻 進 ビッグレスキュー裁判を支援する会
寺尾 光身 名古屋工業大学元教員
出口 尚美 千葉県流山市民
とかしき なおみ 杉並区議会議員
戸田 清 長崎大学環境科学部助教授
中川 幹太 NPO 木と遊ぶ研究所
中下 裕子 弁護士・ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議事務局長
中家 昌明 橿原市民オンブズマン
永尾 廣久 おおむた市民オンブズマン代表幹事・弁護士
中田 太郎 大けやきの会
中畑 利弘 和歌山県漁業協同組合連合会
中村 剛 SYS環境調査隊
西岡 政子 横浜・ゴミを考える連絡会運営委員
野村 修身 電磁波問題市民研究会
長谷川 憲文 元ゴミ問題・ゴミ発電を考える会
畑 明郎 大阪市立大学商学部教授(環境論)
原科 幸彦 東京工業大学大学院教授、国際影響評価学会理事※
日置 雅晴 弁護士(第二東京弁護士会)
久野 敦司 グローバルブレイン研究所
藤岡 周二 愛媛県大洲市(株)大喜水質管理センター
藤岡 貴美子 愛媛県大洲市(株)大喜水質管理センター
藤原 寿和 止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク事務局長/残土・産廃問題ネットワーク・ちば代表
藤原 猛爾 弁護士
二見 孝一 美しい球磨川を守る市民の会事務局長
星川 淳 作家+屋久島環境政策研究所
増田 隆男 弁護士、増田法律事務所(仙台市)
真野 京子 環境ボランティアグループ ままはぷん
増本 亨 佐賀県議会議員
松浦 さと子 摂南大学経営情報学部 教員
松谷 清 政策ネット・虹と緑・静岡県
松本 郁子 地球の友ジャパン
松本 弘子 神奈川県横須賀市民
水田 哲生 立命館大学・政策科学研究科博士課程
宮坂 忠 更埴市民
宮崎 さゆり 日米環境活動支援センター(米国ワシントンD.C.地区)
向原 祥隆  図書出版南方新社
宗片 康修 広島県福山市市民
村田 正人 弁護士、三重総合法律事務所(津市)
村山 武彦 早稲田大学理工学部複合領域教授※
森嶋 伸夫 政策学校[一新塾]
本康 淳子 愛知県刈谷市民
門司 和夫 環境カウンセラー、(有)K&M経営コンサルタンツ
柳田 由紀子 市民自治井戸端会議代表
瀬下 満義 鹿児島県西之表市民
山形 美智子 東京都北区住民
山崎 久隆 ノーニュークスプラザたんぽぽ舎運営委員
山田 佳代子 ストップフロン全国連絡会
山本 佳世子 滋賀県琵琶湖研究所研究員
山本 茂雄 (有)山本水産代表
山本 くにゑ ごみ問題5市連絡会・ごみゼロを目指す市民の会
横関 拓也 大けやきの会
横田 一 フリージャーナリスト※
横畑 泰志 富山大学教育学部環境生物学研究室
吉川 三津子 海部農業と暮らしを守る会、あいちゴミ仲間ネットワーク会議・処分場部会
吉田 央 東京農工大学農学部専任講師
霊山 智彦 ジャーナリスト※
米田 頼司 和歌山大学教育学部助教授※
鷲尾 雅久 白保の海と大地を未来にのこす全国ネットワーク
綿末 しのぶ 21世紀に八坂川で遊ぶ会世話人代表

環境行政改革フォーラム事務局
〒141-0021 東京都品川区上大崎4-5-26-4-1108
電話 03-5759-1690 FAX 03-5759-1890
メール aoyama@eri.co.jp ikeda@eri.c.jp
WWW http://www.01.246.ne.jp/~aoyama


●はじめに

 私たちは、環境行政改革を求めている、民間の任意のグループです。この9年間、環境問題の解決を通じて日本社会を改革していくという旗印のもと、専門家、研究者が地域社会、地域住民、環境NGOと連携し、国、地方また行政、立法を問わず具体的案件にかかわるなかで多様な活動をしてきました。近年においては、公共事業の見直しについても、全国各地で真摯に活動されている住民団体、NGOへの専門的、技術的な支援を展開しています。

 環境破壊が深刻化するとともに、環境を破壊して成り立った「公共事業」の負の側面が明らかになっている今日、われわれの環境を、現世代のみならず、世代間公平のために、環境が持続可能な範囲内での開発行為を考え,またそのために環境を改善するべき時代になっています。

 そこで最後の砦、頼りになるのが法です。しかし、わが国の場合、地方自治体など行政機関を相手とした訴訟(行政訴訟)は、処分性、原告適格性などの観点から住民にとって非常に厳しいものとなっており、多くの場合、実質審議以前に門前払いとなっています。そして最後に残された法的手段が「住民訴訟」であると言っても過言ではありません。

 そのような状況下、先の通常国会(第151国会)に総務省(旧自治省)から政府提案法案として地方自治法の「住民訴訟」制度の抜本的改正が発議され、現在継続審議となっております。

 ご承知のように、現在、腐敗した自治体の首長や幹部が、例えば自ら談合を取り仕切り、公共事業を高い値段で発注するなど自治体に不当に損害を与えた場合、住民がその首長個人や幹部個人に対し、「自治体に与えた損害を自治体に返還しなさい(賠償しなさい)」と直接訴えることができるのがこの住民訴訟制度の根幹です。継続審議中の法改正では、最後に残された「住民訴訟」が大幅に改正され、自治体幹部などによる不正行為を実質的に提訴できなくなる可能性を持っています。


●国会議員各位へのお願い

 国会議員各位におかれましては、現在継続審議中の地方自治法改正に賛同されることないよう、ここにお願い申し上げます。

 なお、住民訴訟制度の概要、法改正の論点等については、以下の解説及び資料を参照して下さい。


【解説】
住民訴訟制度の概要

 住民訴訟制度は、地方自治法第242条の2で規定されている。

 そのモデルは米国の納税者訴訟制度を基に、1948年(昭和23年)の地方自治法改正によりはじめて導入されている。

 住民は地方自治体の首長や職員に対して違法、不当な公金支出や財産の取得などの防止、是正を求める住民監査請求を行い、監査委員の対応に不服がある場合に住民訴訟を起こせるとしている。

 住民訴訟は、請求の内容別に以下の4種類がある。すなわち、違法な行為などに対し、

第一号訴訟は、差し止め請求
第二号訴訟は、取り消しまたは無効確認
第三号訴訟は、違法確認、
第四号訴訟は、損害賠償や不当利得返還など

を求める。

 第四号訴訟は、住民が自治体に変わって首長や職員個人を訴え、自治体に対して損害賠償するよう求めるもので、通称「代位訴訟」とも呼ばれている。

 第151回の通常国会に、総務省から提出された地方自治法の一部改正案は、地方制度調査会が昨年10月にまとめた答申を受けて、政府が今年三月に閣議決定し、同国会に提出している。


【参考資料】
住民訴訟制度改正に反対する理由説明(1)


01.8.28住民訴訟の改変は白紙に
法政大学社会学部教授 政策研究大学院大学客員教授 福井 秀夫


【参考資料】
住民訴訟制度改正に反対する理由説明(2)


住民訴訟(地方自治法)改定にかかわる課題について
住民訴訟が根底から骨抜きに
平野 真佐志(ジャーナリスト)

【改正をめぐる論点】

 信濃毎日新聞における「住民訴訟」制度改正の争点を高橋利明弁護士(前全国市民オンブズマン連絡会議代表幹事)のコメントから引用。
(Q)は信濃毎日記者です。


 総務省は、現行制度だと、被告になった首長や職員の精神的、時間的負担が大きく、職務遂行の妨げにもなるとして,改正案の今国会での成立を目指す。一方、公務員の官官接待やカラ出張問題を住民訴訟で追求してきた市民団体などは「制度の根幹を揺るがしかねず、住民の行政監視能力を著しく後退させる」と反発。日本弁護士連合会も今月9日、改正に反対の意見書をまとめ、現行制度維持を訴えている。

 本格的な国会での審議を前に、地方制度調査会(首相の諮問機関)の副会長として制度見直しに携わった成田頼明横浜国立大学名誉教授と、改正に反対する全国市民オンブズメン連絡会議の前代表幹事、高橋利明弁護士に聞いた。


高橋弁護士へのQ&A

(Q)改正案では第四号訴訟において被告(首長など)が個人から執行機関となることになっているが,なぜこれに反対なのか?

■高橋弁護士

 「住民が自治体になりかわって不正、違法行為の原因者に損害賠償などをさせるという、これまでの「代位訴訟」の根幹を揺るが改悪だ」。新制度だと、住民が直接、原因者に是正を請求できなくなる上,自治体のために提訴しているのに,「一次時訴訟」では住民と自治体が敵対関係になってしまう。」

 「一次訴訟で住民が勝訴した場合、監査委員が首長に対して、原因者が職員の場合,首長が職員に対して,「二次訴訟」で損害賠償する手続きになるため、裁判の長期化が懸念される。訴訟経済の点からも無駄だ」

(Q)総務省側は、現行制度だと首長や職員の精神的、時間的負担が大きく、萎縮させてしまうと強調するが。

■高橋弁護士

 「だからこそ現行制度をそのまま残すべきだ。官官接待やカラ出張がほとんどなくなったのは、首長や職員が恐れるこの制度があったからだ。弁護士費用などの負担を軽減するためなら、訴訟費用の立て替え制度をさらに拡充させるなど、手法はいろいろあるはずだ」

(Q)総務省は改正の理由に勝訴率の低さも挙げている。つまり住民側が乱訴傾向だと。

■高橋弁護士

 「確かに勝訴率はここ数年の平均だと6ー7%程度。だが、途中で和解したり、裁判継続中に自治体が問題を是正したため訴えを取り下げる例もあり、実質勝訴のケースは多い。さらに敗訴の内訳を見ると提訴の期限切れを理由に裁判所が却下する例も多い。負けが多いからと言って,乱訴だとは言えない」

(Q)議論が不十分のまま国会に改正案が提出されたと、主張しているが。

■高橋弁護士

 「住民のための制度を住民側の意見も聞かずに勝手にいじることは,決して許されない。法案にまとめる前に、公聴会などを開くべきだった」

 「情報公開が進む中、住民の行政監視能力は高まりつつある。「おまかせ民主主義」から,まさに脱皮しようとしている時期だからこそ,直接是正請求ができる現行制度は根幹を変えないで、守ってゆかなければならない」。


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