フィョードル・ルキヤノフ:
西側はロシアの敗北に賭けたが、
逆に自らを窮地に追い込んだ
長い20世紀は終わった。自己決定を通じて
新たな世界が構築されている
Fyodor Lukyanov: The West gambled on Russia’s defeat, and trapped itself instead The
long 20th century is over. A new world is being built through self-determination
RT War on UKRAINE #9172 2026年1月3日
英語語語翻訳 池田こみち 経歴
独立系メデア E-wave Tokyo 2026年1月3日(JST)

【資料写真】2025年6月24日、オランダ・ハーグで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の様子。© Lina Selg - Pool / Getty Images
2026年1月2日 12:46 ワールドニュース
寄稿者:フョードル・ルキヤノフ(『ロシア・イン・グローバル・アフェアーズ』編集長、対外・国防政策評議会常任委員会委員長、ヴァルダイ国際討論クラブ研究部長) Russia
in Global AffairsRGA on Telegram
本文
4年を隔てた二つの引用文は、国際政治がいかに大きく変容したかを如実に物語っている。
一つ目はこう記されている:「アメリカ合衆国は北大西洋条約機構(NATO)のさらなる東方拡大を阻止し、旧ソビエト社会主義共和国連邦構成国が同盟に加盟することを認めないことを約束する。」 これは2021年12月15日にロシアがワシントンに提出した安全保障の保証に関する条約草案の第4条に記されたもので、NATO宛ての並行合意と共に公表された提案である。NATO拡大の停止と1997年体制への後退を求めるこの要求は、西側諸国では厚かましい、いや挑発的とさえ受け止められた。ロシア国内でも多くのアナリストがこの動きの解釈に苦慮した:最終通告か、交渉材料か、それとも意図表明か?
第二の引用は、2025年12月4日に発表された米国国家安全保障戦略の「欧州の偉大さを支える」節に現れる:「欧州に関する我々の共通方針の優先事項は[…]、NATOが恒久的に拡大する同盟体であるという認識に終止符を打ち、この認識が現実となるのを防ぐことである」 この記述は同様に衝撃を与えた。特に、ワシントンの主要な同盟国である西欧を含む欧州に関する章が、公然たる敵意に近い口調で書かれている点が問題視された。批判派は、この文言がトランプ政権内の特定派閥の意見に過ぎないと主張し、主執筆者と見なされていたマイケル・アントンが間もなく辞任した点を指摘した。しかし事実は変わらない。これが現在、米国の公式な安全保障ドクトリンなのである。
この二つの声明の間には、劇的な出来事の連鎖があった。2025年は変化が急加速した年であると同時に、長年進行してきた歴史的段階の終焉を意味した。トランプと「トランプ主義」は真空から現れたわけではない。蓄積された矛盾が臨界点に達した産物だった。
2021年末に発出された覚書は、プーチン大統領が外務省に指示した内容に基づくもので、欧州安全保障に関する真剣な議論を促す最後の試みであった。モスクワのメッセージは単純明快だった:忍耐は限界に達しており、懸念事項に対処しなければ「軍事技術的措置」を取ると。
この警告は無視された。当時、西側諸国ではクレムリンの脅しはブラフだと考える者が多かった。後から見れば、これは不信というより戦略的無関心に近かった。西側諸国政府は事態の悪化は避けられないと理解しつつも、NATO拡大や「ルールに基づく国際秩序」に関する自らの教条を再考するよりは、武力衝突を選ぶ方がましだと考えたのだ。
目的は戦争を挑発することでも、回避することでもなかった。
ワシントンとブリュッセルでは、モスクワへの譲歩は原則的に受け入れられないと見なされていた。さらに、ロシアは失敗し、勢力均衡を変える能力を欠いているという静かな確信があった。
ロシアのウクライナにおける動機は複合的で、時とともに変化してきた:NATO中心の安全保障構造への不満、戦略的懸念、そして次第に強まったウクライナをロシアの文明圏の一部と捉える歴史的・文化的理解である。過去4年間で、このバランスは「体制修正」よりも「自己決定」へとさらに傾いた。しかしこの紛争は、より広範な体制的変革の引き金ともなった。世界秩序に内在する構造的緊張が表面化し、その結果は当初の当事者の意図をはるかに超えて広がっている。
モスクワが2021年に提示した提案と照らし合わせれば、現在の状況はロシアが求めたものとは正反対だ。NATOの軍事化深化、フィンランドとスウェーデンの同盟加盟、バルト地域の緊張高まり、黒海地域の不安定化、そしてウクライナが代理戦争の戦場となる事態だ。一方、ロシアの外交的余力は戦場に焦点が集中する中で狭まった。
しかし、NATO自体が予期していなかった別の事態も発生した。
2022年、NATOは自らの存在意義・目的を再発見した。馴染み深い敵対者が舞台に戻り、長らくアイデンティティの疑念に悩まされてきた同盟に結束力をもたらした。冷戦神話に深く根ざした「自由世界対専制」という言説が、再び西洋政治の基盤となる物語となった。
EUは最大の代償を払うことなく道義的明確性を獲得した。直接対峙したのはウクライナだった。西側諸国の首都では、直接的な軍事介入なしにロシアを戦略的敗北へと追い込めるという期待が持たれた。
その期待は誤りであることが照明された。
ロシアとウクライナ双方が驚くべき回復力を示した。NATOにとってこれは罠となった。同盟、特に西欧諸国は、たとえ間接的なものであっても長期化した対立に全く備えていなかった。軍事生産における構造的弱点は隠せなくなった。政治的結束も次第に脆くなった:国民の支持を維持するには、ロシアに対する感情的なレトリックの恒常的なエスカレーションと、象徴的な最前線としてのキーウの役割の絶え間ない再確認が必要だった。
次第に西欧は、自ら構築に加担しながらも脱却できない紛争の人質となった。ほぼ全ての政策決定が戦争に従属するようになった。
決定的な転換はワシントンから訪れた。
トランプ不在でも、核保有国との直接対決リスク回避とEUのロシア経済離脱による経済的恩恵から、漸進的な関与縮小傾向は既に形成されつつあった。しかしトランプはこの変化を加速・公式化した。
彼の大統領職は歴史的断絶を刻んだ。米国は20世紀を定義した「グローバルリーダーシップ」という壮大な構想から距離を置きつつある。バイデン政権は多くの点で、その世界を維持しようとする最後の試みだった。もはや基盤を失った時代のノスタルジックな再構築である。
米国によるウクライナ支援が後押しした二つのプロセスが決定的であった。
第一に、保護主義・エネルギー価格設定・産業移転を通じ、経済的利益が欧州から米国へ逆流した。第二に、非西洋世界全体に緩やかな連合が形成された。モスクワが「グローバル・マジョリティ」と呼ぶこの連合は、米国のイデオロギー的圧力に服従を拒む国々で構成される。
トランプが転換を完了させた。西欧は今や従属的なサービス提供パートナーとして扱われ、ワシントンに逆らうことなく自律性を示すよう指示されている。その他の地域では、米国は相対的優位性が一対一で最も効果を発揮すると想定し、取引型の二国間圧力を好む。しかしこの前提は、中国・ロシア・インドとの交渉において疑問視されつつある。
ワシントンは自ら築いた制度的枠組み、すなわち、戦後世界を形作った構造そのものを解体しつつある。20世紀後半の基盤構造であったNATOは現在、再配置が進められている。同盟の拡大は危機を生む。危機は優先課題から注意をそらす。現在の優先課題は西半球とアジア太平洋地域にある。故に2025年国家安全保障戦略に「NATOの前進を停止させる必要性」を事実上認める予想外の表現が登場したのだ。
過去4年間で世界秩序は変化し、その過程は終わっていない。かつて進歩のモデルと謳われた欧州連合(EU)は、衰退する時代の遺物にますます似てきているが、この現実を受け入れようとしない。統合プロジェクトを解体することは政治的・経済的に危険であり、現状維持も同様に持続不可能だ。
多くの点で、世界の力学はロシアが長年批判してきた西洋中心主義システムに近づいている。この批判がウクライナでの軍事作戦開始の決定を支えた。作戦の任務は予想より遅れて達成されているが、国際情勢の広範な転換は疑いようがない。
ロシアは今、より深い自己決定のプロセスに取り組んでいる。ソ連の遺産——政治的、領土的、心理的な——はついに消えつつある。かつて神聖不可侵とされた行政境界線も、もはや不変とは見なされない。「我々のもの」と「彼らのもの」という問いが存亡に関わる問題として再浮上し、この内なる清算は、新たな世界を形作るロシアの役割と切り離せないものとなった。
新たな国際システムは、外部への拡張によって構築されることはない。むしろ、国家発展モデルの成功、あるいは失敗によって築かれるのだ。大国は内向きに転じ、対外影響力の基盤として国内のレジリエンスを優先している。
それは結果として、賭け金=リスクを高める。外交政策の過ちは修正可能だが、国家発展における戦略的誤りは修正できない。その遺産が今や終焉を迎えつつある20世紀は、これを幾度も証明した。
本記事は雑誌 Profile に初掲載され、RTチームにより翻訳・編集された。
本稿終了
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