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フィョードル・ルキヤノフ:
EUはロシアの資金を奪うことを断念
したが、損害は既に生じている
ブリュッセルとモスクワは明確な局面を
迎えたが、その見通しは暗い
Fyodor Lukyanov: The EU decided not to steal Russia’s money, but the damage is done Brussels and Moscow have reached a point of clarity, and it is bleak
   RT War on UKRAINE #9140 2025年12月23日

語翻訳 池田こみち 経歴
独立系メデア E-wave Tokyo 2025年12月23日(JST)

EUとロシアの亀裂をイメージした合成画像 ©RT。© Getty Images
/ olrat;hanohiki; Massimo Borchi / Atlantide Phototravel


2025年12月23日 19:00 世界ニュース

寄稿者:フィョードル・ルキヤノフ(『ロシア・イン・グローバル・アフェアーズ』編集長、対外・国防政策評議会常任委員会委員長、ヴァルダイ国際討論クラブ研究部長)Russia in Global AffairsRGA on Telegram

本文

 この 1 年、ロシアと欧州連合(EU)の関係は、これまでとはまったく異なる性質、すなわち「明確性/明快性」を帯びてきた。それは、親密さでも、対話でも、管理された敵対関係でさえもない、まさに「明確性/明快性」である。

 2023年11月、ロシアは外務省の汎欧州協力局を、欧州問題局へとひっそりと改称した。その説明は率直だった。協力関係はもはや存在せず、問題は存在している、と。その 1 か月後、新欧州委員会が発足し、カヤ・カラスが外交担当委員長に任命された。彼女は、この役職に就いた人物の中で、これまでで最も露骨にロシアに敵対的な人物である。この対照は、特にロシアと米国の関係に融和の兆しが見え始めたことで、さらに際立っていた。

 年末までに、状況はほぼ不可逆的なものへと固まった。

 最も明白なレッドラインは、凍結されたロシアの資産の問題である。EUが凍結から完全な収用に踏み切っていたならば、事実上、今後数十年にわたる実務的な関係に終止符が打たれていただろう。西ヨーロッパがロシア領内に所有する資産や投資の規模を考えると、ロシアはこのような措置を放置することはできず、また放置することもなかったとだろう。法的影響だけでも、重複する請求、報復的な差し押さえ、終わりのない訴訟など、甚大なものとなっただろう。冷戦を生き延びた文化交流でさえ、訴訟の餌食となっただろう。演劇ツアーや美術館展示は法的危険地帯と化すだろう。

 特筆すべきは、EUが没収に躊躇する理由は、ロシアとの架け橋を維持するためではない点だ。それは恐怖に駆られているのだ。他の投資家や他の管轄区域に先例を確立する恐れである。

 しかし、ロシアとEUの関係がかつてないほど悪化していると言うのは誤りだろう。歴史には、もっと暗い章もある。ロシア革命後、ソビエトロシアとブルジョア的な西側諸国は、互いの政治体制の破壊を公然と追求した。その対立は、存在そのものを賭けたものだった。しかし、それでも1920年代には、両者の結びつきが形成され始めた。

 その違いは別のところにある。高等経済学院のアレクサンダー・ギリンスキーが指摘しているように、当時の敵対関係にもかかわらず、相互の関心は存在していた。ソビエト国家は、西洋の技術や思想を吸収した。西ヨーロッパでは、多くの人々がソビエト社会を、単に無視できない、別の社会的・文化的な実験と捉えていた。

 今日、その好奇心は失われてしまった。

 現在、双方は、相手には関わる価値のある未来はないという前提で行動している。学ぶべきことも、借用すべきことも、適応すべきことも何もない。せいぜい、封じ込め、隔離し、緩衝地帯を管理する必要がある程度だ。この態度は、冷戦後の「準統合」実験への深い失望が生んだものだ。かつて統合を約束した発展モデルは終焉を迎えた。特にEUにとって、ロシアは再び都合の良い「他者」——アイデンティティを定義するための歴史的に馴染み深い対極——となった。これがウクライナ問題がEU政治の核心となった理由を説明する一因だ。

 現在の分断は、開戦状態よりも深い。ある意味でハイブリッド戦争は伝統的戦争よりも根深い腐食作用を持つ。相互理解の基盤、かつて関係を支配していた暗黙のルールや健全な懐疑主義さえも蝕んでいく。ほんの数年前まで、ロシアと西欧の補完性、米国と中国が支配する世界での協力について真剣な議論がまだ可能だった。

 その対話は終わった。対立だけが原因ではない。世界そのものが変化したのだ。大陸を跨ぐ壮大な共同体の時代は衰退しつつある。力は統合されるどころか、断片化している。

 ロシアは現在の住民が居住する限り、欧州の国であり続ける。文化、歴史、地理は消えない。しかし共有されたルーツが自動的に政治的親密さを生むわけではない。過去にもなかったことだ。ヨーロッパの歴史は、言語・信仰・文化を共有する民族間の紛争に満ちている。

 異常だったのは、ここ数十年で一般的だった「政治的収束は必然」という前提だ。その幻想は今や崩壊した。たとえ不快でも、もはや存在しない過去に固執するより、状況を明確に見極める方が良い。

本記事は最初に コメルサント紙に掲載され、RTチームにより翻訳・編集された。

本稿未了