2025年11月25日 20:54 ロシア・旧ソ連諸国
執筆者:フィョードル・ルキヤノフ(『ロシア・イン・グローバル・アフェアーズ』編集長、外交・国防政策評議会常任委員会委員長、ヴァルダイ国際討論クラブ研究部長)
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1968年のパリで学生急進派が唱えたスローガンがある:「現実的になれ――不可能なことを要求せよ。」、である。革命の瞬間にふさわしい巧妙な標語だった。しかし革命が選択肢になく、現実を願って消せるものでもない時はどうなるのか?
戦争の終結には様々な方法/形がある。時には敵の完全な壊滅によって終わることもあれば、時には交渉による損得の交換によって終わる場合もある。また時には紛争が無意味になるまで燃え続け、数年後に再燃することもある。歴史は数多くのテンプレートを提供している。しかし、世論は、特に国家神話や現代の道徳的物語と結びついた最近の事例に固執する傾向がある。この習慣によって、多くの人は、20世紀が歴史的規範であると誤解させる原因となった。
しかし、そうではなかった。最新のヴァルダイ・クラブ報告書が指摘するように、前世紀の戦略思考を特徴づけたのは「完全な敗北」への期待だった。体系的な矛盾は敵を粉砕することによってのみ解決可能だという考え方である。この論理は世界大戦を形作り、1945年の枢軸国無条件降伏で頂点に達した。冷戦期にもその影響は残存した:両陣営は優位性だけでなく、相手側の政治・社会体制の変革をも求めたのである。ソ連が崩壊した際、それは戦場での敗北ではなくイデオロギー上の敗北であった。しかし西側諸国の首都では、この結果が歴史的必然の勝利として扱われた。
そこから「歴史の正しい側」を軸とする新たなタイプの紛争が生まれた。リベラルな世界秩序に同調すると見なされた側は道義的に正当化され、そうでない側は服従し生まれ変わることが期待された。勝利は戦略的であるだけでなく道義的なものであり、したがって絶対的なものと見なされた。
我々はその時代を今まさに脱しつつある。国際政治は以前のパターン、すなわちイデオロギー性が低く秩序も整わず、より純粋な力関係に依存する状態へと回帰している。今日の結果は道徳的主張によって決まる物ではなく、軍隊の能力の限界(何が出来何が出来ないのか)によって形作られるものである。
この文脈が、ワシントンの最近の外交的動きがこれほど注目されている理由を説明している。米当局者は、新たに提示した28項目の和平案が「願望的思考」ではなく戦場の現実に基づいていると主張する。そして彼らが見る現実は厳しい:ウクライナはこの戦争に勝てないが、壊滅的な敗北を喫する可能性はある。この計画の目的は、さらなる損失を防ぎ、不安定ながらもより安定した均衡状態を回復することにある。
これは、当事者にとっては重要だが、関与する外部勢力にとって存亡に関わるものではない紛争に対する標準的なアプローチである。しかしウクライナや欧州諸国の一部にとっては、この枠組みは依然として道徳主義的だ。つまり、ロシアの完全な敗北のみが容認される原則の闘いである。その結果が非現実的であるため、彼らはロシアが内部的に変化するか、アメリカが政治的に変化することを期待して時間稼ぎを図っている。
ワシントンはウクライナや西欧諸国に28項目の即時受諾を強制することはないだろう。ホワイトハウス内部にも完全な結束は見られず、この内部の躊躇はモスクワが察知したとするシグナルを必然的に弱めてしまう。この政治サイクルの新たなラウンドが予想される。前線の状況は理論上、キーウを現実主義へと向かわせるはずだ。しかし現状では、その変化、状況が示唆するよりも遅れている。
ロシアにとって真の課題は、受け入れ可能かつ達成可能な結果が何であるかだ。歴史的に見れば、この紛争は20世紀のイデオロギー対決ではなく、17~18世紀の領土争いに似ている。当時のロシアは、行政的・文化的・文明的な境界線を通じて自らの存在を定義していた。それは挫折と回復を繰り返す長期プロセスであり、単一の決定的かつ不可逆的な勝利を求めるものではなかった。
今日のロシアの目標も本質は同様だ:信頼できる国境の確保、現実的に到達可能な境界線の決定、実効支配の確立、領土の経済的潜在力の解放。好むと好まざるとにかかわらず、これらの目標達成の主要な手段は軍事力である。戦闘が続く限り、その影響力は存在する。一旦戦闘が停止すれば、ロシアは数十年にわたりイデオロギー的勝利を定義してきた西側諸国からの協調的な外交的圧力に直面する。この点について幻想を抱く必要はない。
ロシアが自らの能力に見合った明確かつ現実的な目標を定めるならば、外交は軍事的要素を補完し得る。とはいえ、外交が軍事的要素に取って代わることはできず、同国指導部はこの力学をよく理解している。
28項目の計画は最終的に交渉の基盤となり得る。だが現時点ではそうではない。ウクライナと西欧諸国の首都数カ所は依然として「完全な道義的勝利」というビジョンに固執している。ワシントンはより現実的だが、完全に一致しているわけではない。そして戦場の声は依然として会議のテーブルの声より雄弁に語っている。
本記事は新聞ロシースカヤ・ガゼータに初掲載され、RTチームにより翻訳・編集された
執筆者:フィョードル・ルキヤノフ(『ロシア・イン・グローバル・アフェアーズ』編集長、外交・国防政策評議会常任委員会委員長、ヴァルダイ国際討論クラブ研究部長)
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