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三重県と環境省はそれでも
瓦礫の受け入れを強行するのか

池田こみち

掲載月日:2012年11月12日


 2012年11月11日、任期満了に伴う伊賀市長選挙が行われ、新人で元民放アナウンサーの岡本栄氏(61)が初当選。元市企画総務部長の赤澤行宏氏(62)を破った。選挙では、瓦礫受け入れ問題は大きな争点とはなっていなかったようだが、岡本氏は市民に対して、「受け入れを止める」と約束していたという。

 市長として信頼を勝ち取れるかどうかは、これまで三重県知事が推進してきた伊賀南部環境衛生組合(構成自治体は伊賀市と名張市)が管理する伊賀南部クリーンセンターでの瓦礫の焼却と三重中央開発という民間産廃処分場での灰の受け入れに対して、きっぱりとNOを表明できるかどうかにかかっている。クリーンセンターが立地する伊賀市青山地区は住民が明確な受け入れ反対表明を行っている。

 2012年4月頃から三重県知事が受け入れを表明し、候補地として三重県熊野市、多気町、伊賀市などの名前が挙がっていた。この間、名前の挙がった各地では市民の間ではねばり強い反対運動が展開されてきた。実際のところ、熊野市、多気町ともに既存焼却施設(機械化バッチ炉)の規模が小さいことから焼却の受け入れは困難と見られていたが、ここにきて、三重県知事と環境省はターゲットを伊賀市伊賀南部クリーンセンター(流動床式ガス化溶融炉)に定め、そこで焼却・溶融処理を行い、飛灰は民間産廃処分場(三重中央開発)で行うというシナリオを描いていることが明らかとなってきた。

 この間、三重県各地の市民がどのように闘ってきたか、その経過を示すと共に、三重県知事に対する二度にわたる申入書と知事からの回答、瓦礫搬出元である岩手県久慈市長への親書と久慈市からの返事、また、三重県が瓦礫を受け入れることに対して明確に反対を表明していた三重県松阪市長との面談の様子などを一括して掲載することとする。

(池田こみち:環境行政改革フォーラム 副代表、環境総合研究所顧問)

注)
 以下の表の内容は、伊賀・名張での活動を中心に記載してあり、三重県各地(熊野、多気、伊勢、松阪、四日市など)でのすばらしい市民活動の全貌を示していませんので、ご注意下さい。県内には多数の市民グループが存在し、それぞれが独自に効果的な運動を展開しています。

<これまでの経過:2012年>
4月20日  三重県(以後県と略す)と市長会・町村会の3者が震災ガレキの受け入れ協力合意 
5月24日 「こどもとごはん」伊賀市と名張市に要望書提出 
6月 5日 県がガレキ受け入れのガイドライン作成 
7月 1日 県が伊賀市旧青山町の自治協役員に向けたガレキの安全説明会開催 
7月16日 県が伊賀市民に向けたガレキの安全説明会 
7月17日 「名張の未来を考える会」奥谷先生勉強会 in つつじヶ丘
7月24日 「名張の未来を考える会」奥谷先生講演会 in 百合ヶ丘
7月26日 「伊賀・水と緑の会」が命を守る防潮堤の提案を含めた受け入れ反対要望書を伊賀市と名張市に提出
8月 1日 「名張の未来を考える会」焼却灰についての要望書提出
8月 2日 伊賀市阿保自治協(10区のうち2区が地元協定を締結している)が反対の決議を伊賀市と名張市に提出
8月 5日 「名張の未来を考える会」入江紀夫先生勉強会 in 青山
8月 8日 県は「環境省から久慈市のガレキ2000tの焼却要請があった」との報道
同日 「廃棄物問題ネットワーク三重」の吉田ミサヲさんを代表に27団体61名の個人による緊急申し入れを県に提出
8月24日 県から「廃棄物問題ネットワーク三重」に回答
8月13日 池田こみちさん 講演会 in 伊賀、「放射能ええかげんにせん会」主催
8月27日 吉田ミサヲさんが伊賀市長と面談し、市長が「協定書があるから受け入れられない事をアナウンスして良い」 と発言
8月28日 県は風評被害対策窓口を設置
8月31日 熊野市の市民団体が熊野市長に質問書提出
9月 1日 市民グループが松阪市長と面談、市長会と県の協力合意の様子と久慈市の現況について情報を得る
9月 3日 伊賀市東部区自治協がガレキの焼却灰受け入れに言及した要望書を伊賀市長に提出
9月 5日 吉田ミサヲさんが久慈市に親書を送り、同20日に回答を得る
9月13日 「笑顔でつながろう!伊賀の会」「名張の未来を考える会」が県知事に質問書提出
9月20日 山本節子さん講演会「伊賀有機農業推進協議会」主催 in 青山
9月24日 「廃棄物問題ネットワーク三重」が伊賀市長にふるさとを守る要望書提出
9月25日 県は伊賀市の職員と住民10人(非公開)を連れて岩手県の滝沢村と久慈市を訪問。そのための費用として100万円拠出
9月26日 「伊賀で有機農業に取り組む農業者一同」が提出代表者で「三重中央開発」に要望書を提出
9月27日 緊急申し入れの再提出(「廃棄物問題ネットワーク三重」の吉田ミサヲさんを代表とする)
「名張の未来を考える会」が県と伊賀市に署名提出
10月 3日 県が伊賀南部環境衛生組合のある旧青山町内自治協会長に向けた「協定書に関する説明会」開催
10月 4日 決議を出した阿保自治協は10区の区長が揃って県の説明を聞くことになり、「受け入れは認めませんがそれで良ければ説明してください」と前置き、県は説明せずに閉会。
10月 9日 伊賀市議会にて「協定書がある限りガレキは受け入れはできません」と市長発言
10月 9日 三重中央開発に隣接する奈良市石打自治協が県知事と伊賀市に要望書提出
10月20日 吉田ミサヲさんの呼びかけで「県民大集会に向けた準備会」第1回会合を開催
10月27日 「名張の未来を考える会」県と伊賀市に署名提出
10月28日 矢ヶ崎克馬先生講演会「花垣に住む母親有志」主催 in 伊賀
11月 3日 桐ヶ丘自治協へ伊賀南部環境衛生組合が協定替えの説明するが、桐ヶ丘自治協はこぞって反対
しかも一部役員が欠席したため「説明会すら無効」とその場で申し入れをした。

(上記の経過は浜田不二子さん、吉田ミサヲさんがとりまとめたものです。)

上記の活動の中から、以下の文書を掲載する。

【1】三重県知事に対する申入書その1とそれに対する三重県(知事名)からの回答書
三重県自治宛:震災がれきの広域処理に関する緊急申し入れ(1)
三重県知事から:要望書への回答について(1)

【2】久慈市長への手紙と久慈市からの回答
久慈市長への質問.PDF
久慈市からの回答.PDF

【3】市民が松阪市長と面談した際の地元紙(伊和新聞)の報道
 PDF2つ−−−>掲載についての了承待ちです。

【4】三重県知事に対する申入書その2とそれに対する三重県(知事名)からの回答書
三重県知宛申入書2.pdf
三重県知事からの回答2.pdf

【5】三重県に対する情報開示請求結果−瓦礫受け入れのための補正予算の内容
三重県からの開示決定通知書(1).PDF