[ 戻る ]                                                      2002.5.28(火)         

 
 愛知万博環境影響評価会提出レジメ
  

                
     「万博アセス評価会」の進め方を適切に

 
                                               原科幸彦 東京工大
大学院教授


 環境影響評価会の進め方はあまりにも性急です。この会で万博アセスの審査をするわけですが、毎週、会議を開くのでは十分な審査は不可能です。アセスの審査会は通常、1ヶ月ほど間隔をあけて開きます。これは、審査資料の準備だけでなく日程調整も必要だからです。今回は事前の日程調整は一切無しですから、対応が出来ません。

 5月20日、28日、6月7日と、ほぼ1週間毎に会議が開かれます。これでは委員は適切な判断をする時間が取れませんし、質問への万博協会の回答の準備や、事務局の議事録作成の時間が足りません。評価会が形だけのものになってしまわないよう、適切な時間間隔での審査会の開催が必要です。そして、以下は必須条件です。

  比較検討すべき複数案の範囲が示されていません。これではアセスとして失格です。国際標準のアセスを目指すのならば、複数案の比較検討は不可欠です。基本計画と比較検討すべき複数案は、これまでのT案、U案ではありません。森嶌座長も、T案、U案はやらないことが決まっているのだから、この比較には意味がないと言われました。比較検討すべき案は、以下の三つです。

 ・基本計画(ゴンドラ計画を含む)

 ・BIE登録時の案

 ・基準日10万人の案(基本計画と同様、ゴンドラ計画を含む)

 特に「基準日10万人案」は、協会の提案する基本計画よりも費用対効果が大きいので比較検討すべきです。施設規模は3分の2になるため建設費はかなり(100億円のオーダーで)削減されそうです。一方、総入場者数は最悪でも1450万人ほどですから1500万人と大差はなく、万博としては成功です。

 実行可能な範囲内の合理的な代替案を比較検討するのがアセス法の考え方です。この基本ルールを守らねばなりません。この作業は1―2週間で行うのは無理でしょうが、1―2ヶ月なら可能だと思います。5月28日の後の評価会は、6月下旬か7月下旬に開くべきです。

 環境大臣意見が出てから評価会意見をまとめるわけですから、評価会は7月、あるいは8月まで開いても構わないはずです。事業者は、いつも時間がないと言って来ましたが、着工が2―3ヶ月遅れても十分に対応できると思われます。

 そして、アセスプロセスの透明性を確保するため、議事録は発言順に発言者名を記したものを作成し公表するべきです。これは透明性のための必須条件です。

 世界に恥ずかしくないアセスプロセスとしなければ、国民にも世界にも説明責任は果たせません。