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環境行政改革フォーラム総会(活動報告、研究発表大会)
                開催概要

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はじめに


青山貞一@環境行政改革フォーラム代表幹事です。

 今年で設立18年を迎える行動する学会、「環境行政改革フォーラム」の2009年度研究発表及び討議が2010年2月6日(土)と2月7日(日)にあります。

 過去、愛知大学豊橋キャンパス、慶応大学湘南藤沢キャンパス、早稲田大学理工学部大久保キャンパス、政策学校一新塾、武蔵工業大学横浜キャンパスなどで研究発表会を行ってきました。今年は東京都市大学環境情報学部(横浜市都筑区)で2日にかけて開催いたします。

 当日は原則、3〜5の分野で1人15分の発表と5分の質疑の形式で発表と質疑さらに全体討議などを行います。

 ●環境行政改革フォーラム公式Web http://eforum.jp/
 ●幹事リスト http://eforum.jp/kanjimemberboar1.htm

 会員、非会員を問わず参加、発表が出来ます。現在、発表論文、政策提言、調査報告などの募集を行っています。締め切り間近ですがふるって応募下さい。(発表申し込みは締め切りました)

 なお、参加費は無料、通常150頁前後の予稿集が会員は無料、非会員は1000円で配付しています。また発表以外に全体討議があります。

※過去の予稿集・論文集

追記:先に行われました事業仕分けに環境行政改革フォーラムから仕分け人
   ら4名(環境、公共事業、エネルギー、国際協力の各分野)が参加して
   おります。正会員には多数の弁護士、首相補佐官などの政治家もおり、
   政策提言内容が政策、施策などに生きる可能性があります。

1.全体テーマ 環境に配慮した持続可能社会社会づくりに向けて(案)
  
2.日程 2010年2月6日(土)、7日(日)****寒い中、熱く語り合いましょう。

3.場所 東京都市大学(横浜キャンパス)


横浜市営地下鉄線中川駅下車徒歩5分



 ●実行事務局:環境情報学科青山貞一研究室(3507 3号館5階7号室)
   直通電話 045-910-2590  aoyama@tcu.ac.jp

 ●使用教室:3号館3階
   6教室(33A、33B、33G、33H、33I、33K)の予定




キャンパスマップ(会場:3号館3階)

4.プログラム


◆プログラム・一般発表タイムテーブル (PDF)◆

 <第一日目:2月6日 土曜日>
  12:45     開場・受付開始
  13:15〜14:15 基調講演(青山貞一代表幹事)
  14:30〜    一般発表(15分発表+質疑5分+交代5分)×3発表
  15:40〜16:10 休憩・コーヒーブレイク
  16:10〜18:10 一般発表(15分発表+質疑5分+交代5分)×5発表

 <第二日目:2月7日 日曜日>

  9:30     受付開始
  10:00〜10:45 一般発表(15分発表+質疑5分+交代5分)×2発表
  10:50〜12:30 各分科会からの報告各15〜20分程度
         全体討議
         前日の発表を踏まえて自由に議論し、問題解決のための
         VSP(ビジョン、シナリオ、プログラムをまとめる)

  @公共事業・公共政策部会:持続可能なまちづくりに向けて
   ・歴史文化遺産に配慮したまちづくり(鞆の浦など)
   ・脱自動車依存の交通システムづくり
   ・成熟社会における持続可能な経済政策と環境政策の模索
   ・自然との共生、種の多様性の実現に向けて
   ・ダムに寄らない森林保全や治水対策・・・

  A廃棄物部会/有害化学物質部会:ローリスクな社会作りに向けて
   ・ゼロ・ウェイストの実現への道のり
   ・燃やして埋めるから脱却するゴミ政策
   ・市民による3R/5R実現へのイニシャティブ
   ・食の安全をどう実現するか(禁煙、輸入食品、農薬、添加物・・)

  Bエネルギー政策/温暖化対策部会:低炭素で持続可能なライフスタイル
   の実現に向けて
   ・原発に依存しないエネルギー政策への提言
   ・代替エネルギー/自然エネルギー普及への道のり
   ・温暖化と種の多様性リスクへのチャレンジ
   ・公共交通とエネルギー政策

   総括及びフォーラムとしての活動方針決定、共同声明等
   代表及び事務局挨拶

5.発表募集要項

1)発表資格
 環境行政改革フォーラム正会員及び学生会員、非会員を問いません。
※会員のみなさん、幹事の皆さんには、ご自身の発表申し込みの他に、お知り合いのNGO、NPO、地域で活動されている方々、研究者等にもお声かけいただくようお願いいたします。

2)発表内容
 地域から地球まで環境問題に係わるもので、研究論文、政策提言、事例調査報告、活動報告、行政へのパブリックコメント、地域の問題提起等をもとにしたものなどを対象といたします。

(参考)E-forumの活動内容:
「フォーラム」は、たえず国民、納税者の立場にたち行政機構、官僚組織を監視し、その改革を推進する。また、法律・政策・施策の制定、立案過程への環境配慮と情報公開と情報提供を積極的に推進する。さらに第三者の立場からの論評、評価活動を展開する。

3)申し込み方法:12月21日締め切り(発表申し込みは締め切りました)
 発表テーマ(論文、報告、政策提案等)、発表者氏名、所属、200字程度の概要を以下までメールでお送り下さい。(必ず、受領の返信をいたします。申し込み後しばらく返信が無い場合には念のためご連絡ください。) 発表者1名につき最大2発表までとします。(連名の場合には発表される方1名につき2発表であれば、他の方の発表に名前を連ねていても構いません。)

■申込先:環境行政改革フォーラム
事務局長 鷹取 敦(takatori@eritokyo.jp)

4)執筆要綱:1月15日 締め切り
 上記、概要申し込み後に下記の形式でご執筆いただき、事務局
(takatori@eritokyojp)まで原則としてメールにてご送付いただきます。

(1)形態・分量 :A4横書きで最大4頁(厳守)
(2)本文スタイル:45行×22字×2段組を原則とする。
字の大きさは10ポイントMS明朝を基本とする。
上マージン:20mm、下マージン:25mm、
左右マージン:15mm を原則とする。
(3)表題スタイル:14ポイント、ゴシックで一段組みを基本とする。
(4)発表者及び同所属名:12ポイント明朝で1段組みとする。
(5)ファイルフォーマット:MSワード、一太郎を原則とする。
※ 上記以外のフォーマット等による場合には事務局までご相談ください。
※ テンプレートファイルを御希望の方は事務局(takatori@eritokyo.jp)まで御連絡下さい。

5)発表方法(発表会を行う場合)
@発表時間:一人一発表あたり15分+質疑を入れ5分
A発表方法:できる限りパワーポイントを投影しての発表を原則とします

6)事前審査
E-forum事務局において審査し、明らかに公序良俗に反するもの、内容の範囲がE-forumの目的、活動と著しく異なるものは、発表をご遠慮いただくことがあります。

7)提出期限(仮設定:開催日が決定次第確定します)
■200字概要:2009年12月15日
■4ページ論文:2010年1月15日


6.問い合わせ及び論文の提出先
 環境行政改革フォーラム事務局
 事務局長 鷹取 敦  takatori@eritokyo.jp
 副代表  池田こみち ikeda@eritokyo.jp 

事務局長 鷹取

----発表テーマ一覧

■第一分科会・公共事業1

1 沖縄県普天間代替施設(辺野古移転)環境アセスメントの諸課題
青山 貞一(東京都市大学大学院環境情報学研究科)

2 開門が新しい風を呼ぶ
大島 弘三(諫早湾しおまねきの会)
 歴史的な総選挙の結果、第一線で働くすべての市民が、投票で意志表示することが行動の第一歩であることが証明された。そして、全国のムダな公共事業の実態が国民の目の前に明らかになりつつある。もはや国民は、従来の土建屋と官僚による税金の使い方にウンザリし、新たな政策への転換に期待している。環境、福祉、医療、教育そして第一次産業の育成にシフトするのが新しい政権の使命である。議会議員は行政のイエスマンではない。私達はしっかり彼らを監視し、自らも行動しなくてはならない。ここ有明海においても、この半世紀の施策と税金の使い方を見極めれば、私達のやるべきことが明らかになる。その第一歩が、諌早湾排水門の開門である。長崎県知事への要請署名など、現地からの行動を報告する。

3 巨額ODAは必要か?〜事業仕分けと援助の本質
満田 夏花(国際環境NGO FoE Japan)
 毎年巨額の政府開発援助(ODA)が支出されている。一方で、ODAの中には、役に立っていないもの、環境汚染や生態系破壊、住民移転などの環境社会影響を引き起こしているものもある。過去のODAの十分な検証なしに、巨額の支援を続けることは、ODAによる直接的な環境社会影響を繰り返すばかりか、相手国の構造的な社会問題を温存し、助長することにもつながりかねない。事業仕分けを機に高まったODA抜本見直しの動きについてNGOの視点から報告する。

4 新たな公共事業のあり方に関する研究〜ソウル市清渓川復元事業の多面的効果について〜
青山 貞一(東京都市大学環境情報学部)

5 半世紀を経て佐久間ダムで何が起きたか
鈴木 譲(東京大学大学院農学生命科学研究科附属水産実験所)
 1956年,電源開発を目的として佐久間ダムが建設された.当時日本最大,高さ155. 5mの威容を誇っている.しかしそれから半世紀,ダム湖の3分の1は砂で埋まってしまった.ダム湖が埋まるということは,下流部に砂が供給されなくなっていることを意味する.御前崎から渥美半島伊良湖岬まで,延々と続く砂浜はやせ細り,30年前に埋めた産業廃棄物が露出してしまう騒ぎになった.その間,180mも浸食されてしまったのである.ダム問題初心者の佐久間ダムを見てきた印象をお話ししたい.

6 みやざき・市民オンブズマン
金丸 浩成(みやざき・市民オンブズマン)
 切原ダム建設事業(国営尾鈴土地課利用事業)は、青鹿ダム(昭和34年完成)の老朽化による取水設備の改修要望に端を発する。要望に対し農水省は、巨大ダムの新設案を提示した。建設予定地は水無し川の異名を持つ切原川源流付近。水量を補うため二級河川名貫川支流に頭首工を設ける案を提示したが、流域農家の反対により計画変更を余儀なくされた。代案として浮上した宮之原川は、河川法に守られない普通河川。巨大ダム建設のための方便に利用され消えようとしている小川の環境についてのレポート。

7 八ッ場ダム・危ない水事情とイヌワシ、その最新情報を追う
鈴木 郁子(フリーライター・八ッ場ダム訴訟原告)
 今や新政権の試金石として動向が注視の的となっている八ッ場ダム。吾妻川上流には温泉や鉱山がありPH2の強酸性の為、1965年“死の川を蘇らせた世紀の大発見”なる石灰を毎日60dも投入する中和化がスタートした。丸44年経過した今日、中和水のヒ素含有率の基準値オーバーが判明。さらにイヌワシの保護政策は名ばかり。その“死滅作戦”の実態を現地に足しげく通った十カ年の体験を基に八ッ場ダム環境政策の実相に迫りたい。

8 (有)柏廃材処理センター(産業廃棄物処理施設)に関わる健康被害問題
岡田 早和子(市民ネットワーク・野田市議会議員)
 野田市の工業団地にある産廃焼却施設からの排気ガスで、周辺住民の方々が健康被害を訴えている。H19年4月に運転開始したものの排ガス中の塩化水素濃度の基準値超過が判明したため施設を停止した。その後、県改善勧告(行政指導)が行われ、「千葉県廃棄物処理施設設置等専門委員会」で審議されたが、県未承認のまま事業者が勝手に稼動再開した。稼動後、地元の方々からの被害の訴えが相次いでいる。この問題について市の対応を含めて報告する。

■第二分科会・公共事業2

1 都道の建設工事差止訴訟 東京地裁は被告に肩入れした不当判決
柳田 由紀子(調布保谷線36m公害道路ストップの会)
 2004年より東京地裁で係争していた東京都を被告とする西東京3・2・6号調布保谷線建設工事差止訴訟は7月に原告住民の請求を棄却する判決が出された。行政に加担する不当判決であるため、原告側は控訴した。20世紀の開発優先思想に毒された行政と、行政の暴走をチェックしない司法の問題点と現在の状況について報告する。

2 東大は柏キャンパス建設資金のために農場の一部を整備することを考えています
村瀬 敬子(西東京市民)
 西東京市の中心部を占める位置に、東京大学農場と演習林が1935年から存在しています。農場,演習林合わせて31f余の広さがあり緑豊かなすばらしい環境です。今から40年余前に都道が、農場のほぼ中央を東西に貫通する計画が立てられ測量の実施が始まりました。そこに今春おおたかが飛来し、3羽の雛が巣立ちました。東大は柏に3極構造構想計画として、巨大研究施設を建設中、その費用の一部にあてるとして、農場の一部を整備する計画です。
開発には市長の意向が反映しています。

3 下北沢における鉄道あとち(上部)利用の課題
高橋 ユリカ(ライター・「小田急線跡地を考える会」事務局)
 平成25年度に地下化工事完成が予定される小田急線、東北沢〜下北沢〜世田谷代田区間。幅約30m、2,2kmにわたって出現する跡地(上部)は街を大きく変える。どう利用されるかは大きな関心事である。08年1月には専門家と協働する市民団体「小田急線跡地を考える会(あとちの会)」が立ち上げられた。世田谷区では、小田急電鉄と東京都に区案を提案をするために、「小田急線上部利用区民意見検討審議会」を08年6月に発足させ市民から上部利用の提案を募集。09年10月に、それらを踏まえた中間報告案を発表してパブリックコメントが求められた。専門家・大学の参入が果たす役割の大きさを含め、経緯を報告したい。

4 鞆の浦世界遺産訴訟〜未来へ伝えるまちづくり〜
松居 秀子(NPO鞆まちづくり工房)
 10月1日、広島地裁は、鞆の浦の公有水面埋立免許の差し止めを認めた画期的な判決を出した。これは、行政事件訴訟法改正後、公共事業において、事前差し止めを認めた初めての判決である。判決は、鞆の浦の歴史的・文化的景観の価値を認め、その公益を認めた上で、さらに鞆町内に居住するものは個人としても景観利益を日常的に享受しているとして、法律上保護に値する利益を有していると認定した。公共事業による自然や歴史的景観の破壊が問題になる中で、政権交代によりこれまでの公共事業のあり方が見直されようとしているタイミングで下された本件判決は、開発優先の行政の姿勢に対する司法的統制の可能性を拡大する画期的な判決である。

5 福山駅前広場整備事業を通して地方分権とは
落合 真弓(福山市議会議員)
 地方にとっては、「この事業だけは絶対」というやりたい事業が必ずあると思う。しかし、中央からの税金の割り振りやとりやすい交付金、補助金に頼り、やってもやらなくてもいい事業を「絶対やらなくてはいけない事業」に変身させてしまう場合もあるのではないだろうか?福山駅前広場整備事業を通して税金の使い方、地方分権のありかたなどいろいろな疑問と実態、今後の解決策をお示ししたい。

6 東京都稲城市の多摩丘陵の里山開発問題
内田 竹彦(NPO法人一新塾塾生)
 「昨年も発表しました、稲城市東部土地区画整理事業でオオタカもすむ都心から最短最大の里山が宅地化される問題を、この一年の振り返りと今後の提言をしたく、応募いたします。今年も隣接地域でオオタカの幼長2羽の営巣が確認されました。本工事も開始となり、予断を許されない状況です。」

7 リニア中央新幹線計画が検証なしで進行している
懸樋 哲夫(リニア・市民ネット)
 JR東海が東京ー名古屋ー大阪をリニアでむすぶという計画をすすめている。2025年開業8.44兆円という巨大プロジェクトは採算の問題のほかにも、南アルプスにトンネルを掘るという環境破壊、新幹線の5倍とも言われるエネルギー消費、電磁波による健康への影響、大深度地下の危険性や技術的な諸課題・・・どれをとっても現実的ではないと思われる計画がなぜ今推進されるのだろうか。

8 「エコフロンティアかさま」操業差止め訴訟第1審判決の問題点
安江 祐(弁護士)、坂本 博之(弁護士)
「エコフロンティアかさま」は、茨城県が設立した財団法人茨城県環境保全事業団が運営する処分場であり、2基のガス化溶融炉による中間処理施設と埋立面積 97,700u、埋立容量240万立米の管理型最終処分場からなる。計画段階から笠間市民を中心に住民の反対運動が継続し、平成17年8月に操業を開始した後も、その差し止めを求める訴訟が水戸地裁において闘われていた。昨年6月16日に第1審の判決が言い渡され、住民の請求が棄却されたが、その内容を紹介し、問題点を検討したい。

■第三分科会・土壌・有害物質・生物

1 小鳥が丘団地土壌汚染問題の経緯と土壌汚染の実態
鷹取 敦(環境総合研究所)、河田 英正(弁護士)
 岡山市内において操業されていた旭油化工業工場による悪臭が隣接する住宅地において大きな問題となっていた。その後その工場用地は買い取られて、住宅地として開発されたが、工場操業時期に油により汚染されていた土壌対策が十分に行われていなかったため、住宅を購入した住民から健康被害および経済的な被害が訴えられ裁判となっている。この問題についての経緯、土壌汚染の実態、日本の法制度の問題点の関係等を報告する。

2 杉並病の経緯および被害の再発を防ぐための方策を探る
小椋 和子・松崎 早苗(廃棄物系化学物質による健康被害者支援科学者グループ)
 東京都が1996年に杉並区に建設した不燃ゴミ中継所の稼働と同時に周辺住民は発生した有害空気に曝露され、集団被害(アウトブレイク)を受けた。以後、被害が継続しているにもかかわらず、13年間も中継所の稼働は止まらなかった。2009年3月、ゴミが減少したことを理由として5カ所の中継所はすべて稼働が停止された。一方、被害住民が原因裁定を求めた公害等調整委員会は、東京都が主張する硫化水素原因説ではなく、特定できない化学物質を原因と認めた(2002年6月)。被害者の一人が東京都に対して損害賠償を求め、裁判を行ったが、1審、2審共に硫化水素説が原因とされたことから、それを不服として最高裁に上告していたが、2009年9月に控訴は棄却され、硫化水素説が確定した。杉並病被害者に対する東京都、杉並区ひいては大気環境保全に責任を持つ環境省の怠慢、最後に奇想天外な原因説を採用した司法等の行政は公害被害者に対する犯罪者とさえ言える。これらの経緯を述べ、2度とこのような空気汚染による被害者を出さないためにはどのような施策が必要かを述べたい。なお、医学者によって「気のせい」とされ、被害住民を心身ともに苦しめてきた「化学物質過敏症」は2009年10月に病名登録された。

3 PM2.5(微小粒子状物質)環境基準設定への取組み
西村 隆雄(大気汚染被害者弁護団全国連絡会議)
 PM2.5をめぐっては,1997年米国大気質基準設定以来,わが国の各地大気汚染公害裁判和解の中で基準設定に向けてチャレンジがなされ,1997年東京大気裁判和解で,「基準設定も含めて対応について検討する」との条項を獲得。以後2年余,原告患者を先頭に,国際シンポジウム,意見書提出,環境省交渉,宣伝,署名等,旺盛に取組んだ末,2009年9月,米国並みのPM2.5環境基準を設定させることができた。

4 動物行政に対する刑事告発のその後と課題
野中 公彦(みやざき・市民オンブズマン)
 筆者らは宮崎県の動物行政担当者らを動物愛護法違反で刑事告発したが、その後一年以上たな晒しにされ不起訴となった。この不起訴は環境省の意向そのものであることが判明した。環境省動物愛護管理室、自治体動物行政らの摘発と解体は日本が法治国家であれば必須である。動物に関る法律と行政の実態をチェックし、今後の対応策について考察した。

5 藤前干潟から生命流域へ
辻 淳夫(NPO藤前干潟を守る会、日本湿地ネットワーク)
 藤前干潟の保全は、220万都市名古屋の画期的なゴミ減量実現し、成功事例として、生物多様性COP10の開催につながった。しかし、藤前に渡来する鳥は減り続け、伊勢・三河湾の海は貧酸素で瀕死状態である。その主因は山から海までのつながりを断ち切ってきた人間の無知と奢りにある。COP10で日本は「里山」を売りにしているが、山から海までの包摂的な「生命流域」(Bioregion)の復元こそ、重要であることを訴えたい。

6 公共事業やインフラ整備事業における環境問題
川井 直哉(NPO法人再生舎)
 最近公共事業やインフラ整備事業及び構造物維持管理など(以下建設工事とする)で、環境破壊や公共工事の無駄が社会問題化しダムの建設中止・インフラ整備事業の見送りや生物多様性の問題などが論議されていますが、今回は、建設工事における見逃しがちな環境問題を提起したいと思います。それは、建設工事より発生する廃棄物や有害化学物質の扱い方に伴う環境問題です。建設工事では、大量の廃棄物を排出していますが、一部の廃棄物が適正処理されずに投棄されたり、作業中などに有害化学物質を撒き散らしたり、有害化学物質含有の虞のある廃棄物を、再生利用の名の下に殆どの処理施設が無害化処理設備もなく、製品として利用されているのが現状です。

7 アスファルト切断水の処理システムの開発
高梨 順子(NPO法人再生舎)、細渕 慈貴(株式会社バイオメルト)
 アスファルト舗装道路の改修工事,または道路下に埋設する行政管理の上・下水道管,民間インフラ整備のガス管及び電気,通信管等の埋設管工事では必ずアスファルト舗装版の切断工事が必要である.アスファルト舗装版切断時に使用する専用カッターは,切断時の摩擦熱による刃の焼付け防止と粉塵の飛散防止のために切断刃に冷却水を掛けながら切断している.第1報では,実際のアスファルト舗装の改修工事現場から,切断冷却汚水を回収し,化学分析した結果,水素イオン濃度(PH)が高く,微粒子のアスファルト舗装版滓を含み浮遊物質量,鉱物油等の化学物質を多量に含有しており,環境や生態系への影響を懸念されることが明らかになった.そこで,本報では,アスファルト切断汚水を回収し,固液分離により濾過水と滓に分離し,濾過水を工事現場で使用できる可搬型処理システムを開発して実際の工事現場で適用した結果,濾過水は排水基準を満足したので報告する

8 高濃度ダイオキシンを含む田子の浦浚渫土砂の海浜埋め立て問題について
青山 貞一(東京都市大学大学院環境情報学研究科)

■第四分科会・廃棄物

1 いわき市 市街地の真中に計画された産廃処分場
半澤 美子(21世紀の森処分場に反対する連絡会)
 処分場建設に反対する署名運動に協力してくれないかと誘われて8年、沢山の初めての経験をしながら、とうとう、この6月18日事業者側が突如、撤退して行きました。この処分場設置計画は1988年には用地の殆どが買収済みで、一回目の建設計画は福島県によって、事業者に返戻され、2回目の計画提出でした。地元住民には建設に賛成するよう、すでに金銭が渡され、地元有力者は住民をしっかり押さえ込んでいるようでした。勿論地元には反対運動のための会は立ち上がっていました。それでも何とかして、処分場建設を阻止したいという一部の地元住民の熱い情熱から、組織を拡大して全市民に処分場の危険とその実態を訴えるための署名運動でした。15万余の署名は処分場を絶対に許さないという市長を出現させました。その後19万余を集めた運動の概要を報告の要旨とします。

2 住宅地におけるペット火葬炉設置に関する問題
西江 智彦(前野町の環境を守る会)
 東京都板橋区前野町に建設されたペット霊園火葬場を事例に、板橋区のペット条例が「手続条例」から「許可条例」に改正された経緯と、それが不遡及のため問題地域に適用されず、行政を通じた問題解決が困難となっていることや、ペット火葬の規制がない法律の危険性等、住宅地おける火葬炉設置に関する問題を考察する。

3 ペット火葬炉からの複雑な地形の住宅地への大気汚染の影響(その1)
鷹取 敦(環境総合研究所)
 東京都板橋区前野町に建設されたペット霊園火葬場は、複雑な地形の低い場所に位置し、煙突が建物建物高さしかない極めて拡散条件の悪い施設である。周辺住民による仮処分によりこの炉の使用は差し止められたものの、仮処分手続きの間に炉は使用され、大気汚染が低く流れている状況が観察されている。このような条件における大気汚染の拡散について、地形、建物等を考慮したシミュレーションを行う前に仮処分にて簡易な予想方法を用いて、周辺地域に与える影響の把握を行った。地形を考慮した予測調査については次の機会に報告する。

4 所沢市の廃プラ混合焼却導入確認実証試験の問題点の概要
池田 こみち(環境総合研究所)、脇 晴代・城下 師子・矢作 いづみ(所沢市議)
 所沢市は今まで不燃ごみとして分別してきた廃プラスチックを平成22年度から市内の東部クリーンセンターにおいて、混合焼却する方針を発表した。廃プラ焼却への方針転換は平成19年から市政をあずかる当麻市長が当初掲げた政策とも矛盾するとして市民の不信、不安が募っていった。そんななか市当局は 2009年6月、廃プラ混合焼却試験を実施し、その安全性を実施前と比較し、立証しようとしたが、試験計画はもとより、各種の化学測定分析結果からも多くの課題が明らかとなり、到底市民に安心材料を与える物とは成り得なかった。今回はその実証試験の問題点を多面的に分析し報告する。

5 ごみ発電と廃プラ焼却で鳩山公約の実現は可能か
青木 泰(NPO法人ごみ問題5市連絡会)
 鳩山首相は、就任後CO2を1990年の基準年に比較し、2020年には、25%削減することを国際公約した。これは、現状(2007年)から言うと約1/3の削減となり、官民協力し実現を求められる公約である。廃棄物関連は、全体のCO2排出量の約3%を占めるといわれているが、これまでの環境省のCO2抑制策の最大の政策が、ごみ発電である。ごみ発電は、廃プラ等の助燃材の焼却を不可欠とするが、このごみ発電で、CO2抑制ができるのか?それとも仕分け事業に乗せ、無くすほうがよいのか検証した。

6 東京23区の廃プラ焼却でCO2が40%も増大
青木 泰(NPO法人ごみ問題5市連絡会)
 時代に逆行した23区の廃プラ焼却。2008年4月と10月に分けて本格実施されて1年が経過した。東京23区清掃一部事務組合(清掃一組)により、埋め立て処分場の延命化、廃プラの発電利用による売電益の確保等を目的とし、環境への影響はないと進められてきた実体を検証した.CO2は、微増か削減できると説明されてきたが、前年比40%も増加していた。政権交代後の環境行政にとって、東京23区の廃プラ焼却は、反面教師に事例として検証するためのレポートを提出する。

7 東京23区の廃プラスチックごみ分別変更
木下 靖枝・佐藤 禮子 (東京23区廃プラ焼却の見直しを求める公害調停首都圏連絡会)
 昨年の10月より東京23区は分別品目を変更、廃プラスチック・皮革・ゴムを可燃ごみとした。容器包装プラの資源化に努める区と全てを焼却する区が混在、様々な不安や課題が生じ、23区民が連帯しての初の市民運動が展開されている。収集・運搬は各区 中間処理は23区清掃一部事務組合 埋め立て処分は都と三層構造の清掃事業のなかにあっての運動の現状・課題を報告する。

8 沖縄県読谷村安定型最終処分場の不法投棄問題と解決方策
池田 こみち(環境総合研究所)、青山 貞一(東京都市大学)、坂本 博之(弁護士)

■第五分科会・将来ビジョン・市民活動

1 2030ビジョン:日本のありたい姿
和田 友江・中山 弘(”2030ビジョン”プロジェクト)
 今の日本は多くの人が将来への不安を感じています。財政赤字、雇用不安、子育て、年金、医療介護、食料・エネルギー自給、環境問題など多くの解決すべき課題があります。これらに対し、短期的な施策はいろいろと講じられていますが、その先の姿が良く見えません。日本がどんな国になろうとしているのか、我々の将来が生活がどうなるのか良く分かりません。政府が早くその姿を示すべきだという声も多いですが、上から示されるものを待つだけでなく、国民の側からの積極的な提案があってしかるべきです。”2030ビジョン”プロジェクトでは一般市民の視点から「目指す国のカタチ」を提案します。

2 2030ビジョン実現に向けた取組みの方向性
蔭木 達也・中山 弘(”2030ビジョン”プロジェクト)
 将来のありたい姿を考えただけでは“絵に描いた餅”に終わる可能性があります。また、実現の道筋が見えない理想像は賛同者を得にくい面もあります。そこで、目指す姿を実現するための取組みの方向性を、市民(個人・家庭)、コミュニティ(街・地域・企業)、政治・行政というアクター毎に述べます。また、実現のための心のあり方、経済の捉え方、さらにはビジョンを幅広く共有するプロセスについても提案させていただきます。

3 石油の需給逼迫を踏まえた持続可能な社会を考える
西村 豊(サステナ・ライフ:持続可能な生活を考える会)
1)欲望を煽ることで成り立つ資本主義が、遅かれ早かれ「成長の限界」の壁に直面するのは明らか。2)ゼロサム下の資本主義では必然といえる競争激化の反動で、みなスローなエコノミーに懐かしさを抱き始めた。3)かといって餓死者を出さずに持続可能な循環型社会へソフトランディングするシナリオは誰も描けない。 で、どうしましょ?を皆さまと考察したいと思います。

4 市民による環境負荷低減プログラムの企画・実施と評価の試み
中村 早苗(金沢エコネット)
 金沢市は「金沢市省エネルギービジョン」を策定し、CO2排出削減を目指しているが、民生家庭部門の啓発事業の評価はイベント参加人数等に設定され、実際の環境負荷低減を測る事業や評価基準はまだない。そこで市民が自らCO2排出削減の効果の高いプログラムを企画・実施し、さらに環境家計簿等を使い事業の効果を数値評価する試みを行っている。これを今後行政の事業評価に活かす方法を検討していきたい。

5 「市民科学」を支える市民ファンドとしての高木基金の取り組み
菅波 完(高木仁三郎市民科学基金)
 高木基金は、2000年10月に亡くなった高木仁三郎氏の遺産を元に、一般市民からのカンパを集め、「市民科学」を目指す市民グループなどの調査研究・研修等を助成してきた。助成対象は、原発問題、産廃処分場の環境や健康への影響、大型開発事業による自然破壊の問題等、いわゆる学術的な研究資金や、企業系の助成金などからは資金を得にくいものを優先してきた。設立からの8年間で、のべ132件の調査研究等に、合計7,440万円を助成してきたが、多くの人たちからの会費や寄付により、高木仁三郎氏の遺産と同額の基金は、現在でも確保している。現代の科学技術がもたらす問題等について、行政や企業の利害から独立した立場から、科学的に根拠のある情報や分析を市民社会に提供することが、高木基金の目指す「市民科学」の役割である。もちろん、高木基金がその様な大きな役割を果たしているとは言い難いが、高木基金は、このような課題に対する「社会実験」の意識で設立されたものであり、この機会に、これまでの経過等を整理し、多くの方からのご意見・ご助言を頂ければと考えている。

6 市民と行政との協働〜千葉県市川市の事例報告
斉藤 真実(市川市民)
 千葉県市川市では環境政策や実施状況に対して市民が政策提案をするための公の組織、「環境市民会議」が設けられている。市はサポート役にまわり、会議の進行や内容に関してはメンバーの自主運営となる。現在は第6期で、来年度見直される環境基本計画を視野に入れた「みんなで築く持続可能な社会のために」というテーマで招集されている。そのメンバーの一員としての活動を通して、政策提言の内容の報告と、市民と行政との協働のあるべき姿について提案する。

7 調査捕鯨の問題点と、国際人権法にもとづく「クジラ肉裁判」の争点
星川 淳(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン事務局長)
 水産庁が自然科学の名のもとに続ける“調査捕鯨”は国際的にも数多くの問題点を指摘されてきた。とりわけ商業捕鯨禁止区域(サンクチュアリ)である南極海における擬似商業捕鯨の実態には批判が強い。捕鯨船団内部で長年、慣行化していた鯨肉横領を告発したグリーンピースの職員2名が逮捕・起訴された「クジラ肉裁判」は、いよいよ今年2月に開廷する。国際人権法に照らしてNGOの「表現の自由」と「知る権利」を掘り下げ、両名の無罪を訴える。

8 日本におけるISO14001取得組織のEMS運用実態
田中 元樹(東京都市大学環境情報学部)
 近年、日本ではISO14001を取得する企業・自治体などが急増し、その登録件数が世界トップとなりました。また、最近では教育機関においても ISO14001を取得しようとする動きが目立つようになり、日本の環境意識の高さが表れています。しかし、「組織の環境担当者の孤立化」や「失われた本来の目的」など、“環境配慮”よりも“利益”を求め、本来あるべき姿が消えつつあります。このような実態を事例に基づき報告すると同時に、本来あるべき EMS運用の姿と今後の展望を提言します。

■2月7日発表−1

1 ODAにおける環境社会配慮の新展開‐JICAのガイドライン改定‐
原科 幸彦(東京工業大学、IAIA理事・会長職)
 国際協力機構(JICA)は2008年10月から、旧国際協力銀行の有償資金協力部門を統合して世界一の二国間ODA機関となった。事業規模は世銀に次ぎ1兆円を越え影響力は大きく、これまで以上の環境社会配慮が求められる。JICAは有識者委員会を設け2008年以来、環境社会配慮ガイドライン改定作業を進めてきたが2月には制定する見込みである。改定ガイドラインの特徴を示し、この間の議論をもとに、あるべき環境社会配慮について考察する。

2 環境影響評価法見直しの問題点
原科 幸彦(東京工業大学、IAIA理事・会長職)
 環境影響評価法は全面施行後10年を経て、現在、見直しの準備作業中である。すなわち、環境省は総合検討会を設け今年7月に報告書をまとめ、これを基に中央環境審議会の部会での検討に入っている。日本のアセスはかなり改善されたものの、他の先進諸国の制度に比べると遅れている。中間報告は論点整理が主で、改善の方向性は明確でなく、見直しの行方が危惧される。あるべきアセスの立場から、現在の見直しの方向に関する問題点を指摘する。

■2月7日発表−2

1 埼玉県越谷市の大気汚染について
武井 和彦(越谷市民ネットワーク)
 埼玉県東部に位置する越谷市の空気の汚染が進んでいる。環境省が取りまとめている大気中の有害物質モニタリング調査の2007年度の結果ではリストアップされている有害物質19種のほとんどが全国ワーストテンに入っており、特に環境省が観した大袋地区センターではホルムアルデヒドが9.0μg/m3という数値で突出した数値を示している。ダイオキシンの濃度も全国平均を上回り、埼玉県の白書では県で最も高い数値を示している。2009年度に越谷市民ネットワークが実施した松葉を使った大気汚染調査の結果を交えながら、越谷市の大気汚染の実情について報告する。

2 巨大ダム計画のからくり…設楽ダムの不特定容量をめぐって
市野 和夫(設楽ダムの建設中止を求める会)
 6000万m3の不特定容量が設定された背景、設定に至るからくり、建設省(国交省)の流況改善事業の意図と効果などについて、まとめる予定です。

■論文発表のみ

イングランドの食品リサイクリング制度
野村 久子(マンチェスター大学)
 英国は本格的に食品リサイクルに乗り出した。現在646地方行政中、約100行政が制度を導入している。埋立地の許容量が限られているなかで少しでも全体のごみ排出量を減らすためである。またメタンと亜酸化窒素の減少で温暖化対策にもなる。本稿では残飯リサイクルの概要とその仕組みを紹介し、英国北西部に位置するランカシャー州のマンチェスターの1行政地区オールダムを事例として制度の取り組みの実態と課題を見ていく。

南本牧新処分場は横浜のハッ場ダムか
西岡 政子(横浜・ゴミを考える連絡会)
 ごみ問題に熱心だった中田政権が突然終焉した。するとG30(横浜市廃棄物処理基本計画)で入札段階にあった焼却灰の100%資源化が白紙になった。最終処分場に埋立てる一般廃棄物がなくなり、現行の処分場残余量が25年間伸びるはずだった。産廃のためだけに処分場は作れない。530億の税収不足を名目に事業仕分けにふさわしい1,696億円の新処分場事業が残り、50億の資源化事業が中止された。耐えること7年余り、息を潜めていた官僚と業界の癒着の構造が復活?

八ッ場ダムの「生活再建事業」は誰のためか?生活再建か?
まさの あつこ(ジャーナリスト)
 政権交代の末、中止宣告された八ツ場ダム事業。自民党王国・群馬県をはじめ、「地元住民」の感情を楯に新政権に揺さぶりをかける動きは止まらない。また、「生活再建関連事業」の実態が知らされないまま、国民世論は再び安易に揺さぶられようとしている。果たして、「生活再建事業」とは本当に生活再建事業か?誰のためのものなのか?基礎データを整理し、「生活再建事業」再考の材料を提供する。